相続対策は具体的に、
①相続税の節税
②相続争いの防止
③納税資金の確保
④各相続人が引継ぐ相続財産の維持管理の検討
の4つになります。
相続税の節税
- 相続人を正確に把握する
- 相続財産をできるだけ正確に把握する
- 土地の形状、利用状況、占有状況を正確に把握する
- 道路、水路、高圧線、周辺環境を正確に把握する
これらの情報を収集し、専門家によるTaxカンファレンスを行います。
下記のような節税効果が生じます。
○相続人を増やすことはできないか | ||||
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対策 | 相続純財産 | 相続人・その他 | 未分割時の相続税 | |
なし | 20000万円 | 配偶者有り 子供2人 | 1900万円 | |
あり | 同上 | 配偶者有り 子供3人 | 1625万円 | |
差額 | -275万円 | |||
基礎控除額が1人分1000万円増加したため |
○「配偶者に対する相続税の軽減」を利用したか | ||||
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対策 | 相続純財産 | 相続人・その他 | 未分割時の相続税 | |
なし | 20000万円 | 配偶者有り 子供2人 | 1900万円 | |
あり | 同上 | 同上・分割協議して配偶者が12000万円取得 | 760万円 | |
差額 | -1140万円 | |||
申告期限までに遺産分割が行われた為 |
○小規模宅地等の特例を利用したか | ||||
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対策 | 相続純財産 | 相続人・その他 | 未分割時の相続税 | |
なし | 20000万円 | 配偶者有り 子供2人 居住用宅地評価 10000万円 面積 200㎡ |
1900万円 | |
あり | 同上 | 同上・配偶者(居住者)が居住用宅地、建物を分割協議で取得 | 300万円 | |
差額 | -1600万円 | |||
申告期限の翌年4月まで居住していた。 |
○図のような宅地は、私道なのか。 | |||||
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対策 | 相続純財産 | 相続人・その他 | 未分割時の相続税 | ||
私道なし | 20000万円 | 配偶者あり 子供2人 全てを家屋の敷地した場合 評価額 3400万円 |
1900万円 | ||
私道あり | 19300万円 | 同上・ 50㎡の部分を私道とした | 1743万円 | ||
差額 | -157万円 | ||||
50㎡は当該貸家の敷地に接する通路としてのみ使用していると判断 |
○1地区の土地を分筆できないか | |||||
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対策 | 相続純財産 | 相続人・その他 | 未分割時の相続税 | ||
分筆なし | 20000万円 | 配偶者有り 子供2人 土地の評価 4200万円 |
1900万円 | ||
分筆あり | 19900万円 | 同上・100㎡づつ分筆 | 1878万円 | ||
差額 | -22万円 | ||||
下の100㎡の敷地は側方加算がないため |
○500㎡以上の土地で広大地として評価できないか | |||||
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対策 | 相続純財産 | 相続人・その他 | 未分割時の相続税 | ||
広大地でない | 20000万円 | 配偶者有り 子供2人 土地評価額 12000万円 |
1900万円 | ||
広大地である | 14840万円 | 同上・ 土地評価額 6840万円 | 897万円 | ||
差額 | -1003万円 | ||||
駐車場でマンション適地に当たらない場合で、広大地の適用があるため |
○相続時精算課税(贈与税)の適用を考える | ||||
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対策 | 相続純財産 | 相続人・その他 | 未分割時の相続税 | |
相続時の評価 | 20000万円 | 配偶者有り 子供2人 相続開始時点の土地の評価額 10000万円 |
1900万円 | |
贈与時の評価 | 17000万円 | 同上・贈与時の評価額 7000万円で相続が発生したとした場合 | 1275万円 | |
差額 | -625万円 | |||
これは、贈与時 7000万円 相続時 10000万円を想定している もしも、贈与時 10000万円 相続時 7000万円の場合は増税となる これを適用するときは,申請する時期の判断に慎重を要する |
相続争いの防止
遺言により相続財産の処分を行うことができます。遺言者の意思を法律的に実現することができます。
相続人となる資格のある人は、何らの事情がなくても相続される人(被相続人)と一定の身分関係があれば、当然に被相続人の死亡によって相続人になります。
しかし、例外として被相続人が生前に相続廃除の申立てを家庭裁判所に行い、その申立てが認められた場合や遺言で廃除の意思表示を行い遺言執行者が遺言に従い廃除を申立て、申立てが認められた場合には相続廃除となり、相続人としての地位を失い相続することはできなくなることがあります。
但し、相続廃除によって相続権を失った人に子や孫などの直系卑属がいる場合には、代襲相続になります。
民法892条において以下の相続廃除を行う為の要件が列挙されています。
1.被相続人に対する虐待
2.被相続人に対する重大な侮辱
3.その他の著しい非行(被相続人の財産を不当に処分した、賭博などを繰り返し多額の借金をつくりこれを被相続人に弁済させた等)
納税資金の確保
現預金が少なく、土地や建物が多い場合には、不動産を売却して現金に換金しなければ相続税は払えません。売却物件を選択するにも譲渡所得税、贈与税、相続税を総合的に勘案しなければなりません。
また、遺産分割協議で代償分割や換価分割の方法もあります。この場合でも税務上の問題点を解決しておく必要があります。

各相続人が引継ぐ相続財産の維持管理の検討
遺言により各相続人の職業や地位や性格を勘案して、相続財産を分割する方法もあります。税理士法人 越智総合会計では、お客様からの情報により相続後の財産維持の可能性を各相続人の適性等も踏まえて検討を行います。